相当に古い本だがカナン神話を取り扱った本は少ないし、散逸した部分が多い神話は
補填・解釈の違いも楽しめるので一粒で二度おいしい?
そこでゲームアプリなどでも最近ひそかに登場機会が増えている(気がする)
バアルとアナトの2柱の活躍を要約しよう。
バアル
・ヤムとの戦い
ヤムとの地上の支配者争いにて主神に選ばれず
→姉妹のアスタルテ・アナトに手助けを頼む
→アドバイスを受け、神の鍛冶屋(コシャル・ハシス=民間ではプタハと同一視)に武器作成依頼
→二本のうち一本を外し、残りひとつを命中させ倒す
→浮かれてとどめをさすのを忘れる
→アスタルテに叱られて完全にグロッキーにさせる
・宮殿を建てる
→王だが、宮殿がないために神々が命令に従わない
→妹のアナトにとりなしを頼む
→その際の注意は的確、成功
→宮殿を建てた後に竜の復活を恐れ、完全に息の根を止める
・モトとの戦い
→反乱を恐れ、地下と砂漠から出てくるなと使者に伝えさせる
→モト激怒
→贈物、お世辞でどうにかしようとする
→通じなかったので戦いの準備をして、宴に赴く
→死の食物をうっかり食べて捕虜になる
(「同じようにすばやく狩をし、機敏に槍を使い、見目よい好男子」は現れず、
役者不足ではあるがアシュタルが大地を治める)
→復活後、アシュタルを打ちのめす
→今度はモトが復活、軍対軍の戦いではたちまち勝利
→しかし一騎打ちは実力伯仲
→太陽の女神が味方になり、大神を引き合いに出して降参するように命じる
→モト降伏
・その後
→空を掌握し、アナトをなだめる
アナト
宮殿を建てるとりなしを頼まれる
→その際、まだ生きていた足元のヤムを「ひどく」打ち据える
・モトとの戦い
→太陽の女神に頼んでバアルの死体を取り戻し、埋葬
→最初は兄を帰すようモトに嘆願、二度目は問答無用で肩をつかみ、
剣で引き裂き、かみはバラバラになった
・その後
→モトやアシュタルに靡こうとした人間に復讐の念にかられ、出会うあらゆるものを切り倒して廻る
→歌にて自身が打ち倒した敵を謳う
(海の支配者(ヤム)、七つの頭を持つ怪物(レヴィヤタン)、跳ね回る仔牛、獰猛な犬、性の悪い凶暴な這いずる蛇などの「手に負えない奴ら」)
・・・こうしてまとめると予想以上にバアルの落ち度とアナトの(自己報告だが)驚異的な戦闘能力が浮かび上がる。まぁ落ち度に関しては神話なんてどこもそんなもんだけど・・・
正直バアル最大の功績はアナトをなだめたことな気がしてならない。
今まで三大君主は三国志での劉備三兄弟と重なってたけど、
これを踏まえるとバアルが劉備(演義仕様)、アナトは呂布に見えてきた。
違う話では実の父親の大神に「あなたの灰色の髪を頭蓋骨を砕いて血で染める」
とか脅迫してるし・・・神と人物重ねること自体馬鹿らしいけど、呂布どころじゃないなこりゃ
そしてバアルの他力本願寺状態・・・
まぁ某一神教じゃないんだからそれぞれに見せ場があって当然なんだけど
ただ以下の三点には注目したい。
・すばやく狩をし、機敏に槍を使い、見目よい好男子
・なんだかんだで「戦い」においては敗北していない
・対軍勢の戦いにおいては苦戦さえしていない
バアルが主神となる過程の話としても、竜の姿のヤムや姿・礼拝・祭儀などが残されていないモートに比べ、
治水や恵みを象徴し姿も「人に近しい神」がより信仰されていったってことかなと感じます。
「世界最古のヤンデレ」ともいわれるアナトに対して、失敗も多いが容姿含め総合力は高めで
女神が味方について最終的には勝利を収めるバアル・・・
よし、これからバアルは「世界最古のラノベ系主人公」と呼ぼう。
(ラノベの前に神話自体が文学の源泉なことはおいておく、ラノベ=女の子ばっかり出てくる小説という偏見にまみれた知識しかないこともおいておく)
最後に、
0 件のコメント:
コメントを投稿